深圧 SHIN-ATSU 松本深圧院グループ 私達は深圧という特殊技術により、お客様それぞれにあったQOL(Quality of Life)の実現に貢献します

診療の間違い④

変形性股関節症に対する病院での診察と治療(診療)には間違いとして以下の4点を挙げて、①、②、③についてはすでに説明しました。

診療の間違い
①触診を行わず、レントゲン中心の診療であること。
②患者さんの個人差を無視したワンパターン診療であること。
③患者さんの心を無視した診療であること。
④説明内容、指導内容自体にも間違いがあること。
今回は④説明内容、指導内容自体にも間違いがあること。について説明します。
まず変形性股関節症の説明及び指導における“常識”と言われていることについて、その間違いを挙げてみましょう。



変形性股関節症の“常識”の非常識
1、股関節痛は骨や軟骨の変形が原因ではない。
2、変形は進行性ではないから進行は止められる。
3、脚をかばうことはよくない場合がある。
4、筋力トレーニングは逆効果の場合がある。
5、股関節痛は炎症ではないことが多い。
6、治療法は手術以外にも多くある。

すでに説明している項目もありますが、今回は1、~3、の“常識”の非常識さについて説明します。

1、股関節痛は骨や軟骨の変形が原因ではない。

 病院ではレントゲンを重視し過ぎるあまり、骨や軟骨の変形を悪者扱いします。
股関節の骨や軟骨には神経がありませんので、骨や軟骨の変形が直接股関節痛の原因となるわけではありません。骨や軟骨に変形が起きるときに股関節に炎症が出る場合があります。この股関節の炎症は股関節痛の原因になりますので、骨や軟骨の変形は間接的には股関節痛の原因になるでしょう。しかし、股関節の炎症はそう長く続くものではありません。
 皆さんも足首を捻挫した経験はあるでしょう。足首を捻挫すると、足首が腫れて、熱を持って、赤くなって、痛みが出るという炎症症状を起こします。そのような時は、風呂に入って温めると炎症がひどくなりますので、安静にして冷やしますね。
しかし、1週間もすると炎症は取れます。人間の身体には、自己治癒力があります。炎症くらい簡単に治してしまうのです。人間の身体はバカじゃない、とっても利口なんです。もちろん、骨や軟骨も非常に利口なんですよ。

重要なことは、股関節の炎症が去った後なんです。股関節に限らず、人間の身体全体に言える事ですが、炎症がある時には周辺の筋肉が硬くなります。わかりやすく言うと、股関節に炎症があるときは股関節周囲の筋肉がコリます。股関節の炎症がなくなった後もこの筋肉のコリは残り、尻コリ、ももコリになります。肩コリという言葉と同様尻コリやももコリも当然起きます。そのコリに疲労が上乗せされたとき股関節周囲に筋肉痛が出るのです。

これが筋肉の病気であり、股関節痛の主な原因です。交通事故によるむち打ち症(首の捻挫で炎症症状です)の後遺症と同じ考え方です。股関節の捻挫も、変形性股関節症の方には起き易いでしょうね。

筋肉の病気は炎症ではありません。炎症が去った後に残る阻血性(そけつせい:血液の循環が悪い状態)の痛みです。この痛みは、血液の循環が悪いからなので、風呂に入って温めると痛みが楽になります。
皆さんはお風呂に入ると股関節痛が楽になりませんか?
阻血性の筋肉の病気は、筋・筋膜症候群とよばれています。

1990年に発行された滋賀医科大学教授横田敏勝先生の著「臨床医のための 痛みのメカニズム」(南江堂)の中に筋・筋膜症候群という筋肉の病気について詳しく書かれています。
「臨床医のための・・・」の臨床医とは病院で働く先生のことですから、病院の先生向けに詳しく書かれている本です。
この本の中にも一部触れられていますが、1986年にマイアミ医科大学疼痛センターの研究結果では、『当センターを受診した患者さん284人の痛みの原因を調べたら、85%は筋・筋膜症候群が原因だった。』という報告もあるくらいです。

実は、人間の痛みは、炎症ではない筋肉の痛みが原因であることが多いのです。繰り返しになりますが、筋・筋膜症候群はレントゲンには写りませんし、血液検査でも異状が出ません。つまり、一般的な検査上では異状が出ない病気なのです。
触診をして、股関節痛の原因筋を突き止め、その原因筋を治療して、病気になっている筋肉を正常な筋肉に直してあげればいいのです。

筋・筋膜症候群の研究は1939年頃から始まっているにもかかわらず、日本の病院ではあまりにも筋肉が無視されています。
高齢化社会をむかえ、益々整形外科の必要性が高まっていますが、現在の整形外科の診療を見ていると今後に不安を感じます。
私もひどい腰痛で苦しんだ経験があります。その時に8人の整形外科の先生の診療を受けましたが、7人は触診どころか、私の身体に指一本触れてくれませんでした。私は将来、整形外科の先生と組んでこのような現状を変えていくつもりです。

まとめ
レントゲン写真にだまされないでください。股関節痛の主な原因は筋肉の病気による筋肉の痛みですよ。筋肉の痛みは、筋肉の治療で軽減します。股関節痛でお悩みの方で、お風呂に入って股関節痛が楽になる人は、悩んでいないで筋肉の治療を受けてみて下さい。筋肉を少し強くほぐしてくれる先生を見つけてください。私はもう10年このような施術をしています。押すのは筋肉だけです。骨にはまったく影響はありません。人工骨の人でも問題はありません。股関節に詳しい先生を選んでください。そのような施術のできる先生は、マッサージ、指圧、整骨院という看板のついた(国家資格を持つ先生)施術所にいる可能性がありますので相談してみてくださいね。


2、変形は進行性ではないから進行は止められる。

『変形性股関節症は進行性の病気で、いずれ手術が必要です』というのが一般的な常識です。しかし、皆さんよく考えてください。『進行性です・・』といった先生は、皆さんの骨や軟骨の変形の進行を止めようとしてくれましたか?進行も止めようとしないで、気安く進行性なんて言わないで下さい。『進行性』という言葉で、どれだけ多くの患者さんが恐怖や不安を抱えることになるか・・・

正確には、進行を止めるためのお手入れをしない状態では、変形は悪化します。しかし、ちゃんと手入れをしてあげると股関節の進行は止められる場合が多いのです。

股関節にかかる衝撃を吸収して股関節を守ってくれているのは筋肉ですから、筋肉のお手入れをすれば股関節は長持ちします。
この事実は、手術をしていない人はもちろんですが、手術をしている人にも当てはまります。ここで言う「筋肉のお手入れ」とは筋力トレーニングのことではありません。筋肉の病気になって縮んでしまった筋肉(股関節痛を感じる時の筋肉の状態)を柔らかくほぐしたり、ストレッチにてほぐすことです。
そしてお手入れの結果筋肉がほぼ正常(股関節痛がほとんど無くなった時)に戻ったら筋力トレーニングをすればいいのです。

私の患者さんには、病院で「あなたの股関節はあと2~3年しか持ちません。」と言われた方が結構います。
ある人は「じゃあ、あと2年がむしゃらに動いていいと言うことですね!」と言って二度とその病院には行かず、1000Km離れた私のところに来ました。
「あと2年しか持ちません。」と言われたのが平成11年のことですが、現在6年間以上経過してレントゲンにはほとんど変化がありません。本当は、少し変化がありました。その変化とは、平成17年の1月にその患者さんと一緒に山梨の某先生の診察を受けた時にわかったのですが、臼蓋形成不全で、いわゆる“股関節の屋根”があまり無かったのが、今はしっかり屋根ができていました。
一般的にはこの変化を“変形”と呼んで悪者扱いするのですが、実は骨が股関節を修復してくれた結果なのです。
骨って本当に利口なんですよ。

人間の骨が骨折して曲がってくっついても、1年もするとまっすぐな骨になるのをご存知ですか?私は多くの症例を見た経験があります。人間にとって不必要なところの骨は破壊され、必要とされる場所には新しく骨ができるという機能を骨は持っています。人間にとって悪影響を及ぼすような変形なんて考えられません。

最近私は「変形性」「進行性」「末期」撲滅運動を始めました。
「変形性股関節症は進行性で、いずれは末期を迎えます。」と言う説明で使われる3つの言葉の撲滅運動です。

変形性股関節症を英語ではOsteoarthritis of the hipと言います。of the hipは『股関節の』という意味で、Osteoarthritisは『骨関節炎』という意味です。つまり直訳すると、『股関節の骨関節炎』です。この病名の中には変形(Deformity)
や進行性の(Progressive)なんて言葉は含まれていません。いったい誰が“変形性股関節症”という言葉を使い始めたのでしょうか?いったい誰が進行性という言葉を使い始めたのでしょう?

「変形が進行すると末期を迎えます・・・」の“末期”ってイメージ悪い言葉ですよね。
股関節のお手入れをしないで長年経過している人は、骨の変形(修復)が強くなります。いわゆる末期になると、股関節は長年の修復によって安定する為、股関節痛は出にくくなるのです。

以上の理由で私は以下のような提案をします。


「変形」 →「修復」
「変形性」→「修復性」
「進行」 →「修復」
「進行性」→「修復性」
「進行期」→「修復期」
「末期」 →「安定期」


「変形性股関節症は進行性で、いずれは末期を迎えます。」と言う説明は「修復性股関節症は修復性で、いずれは安定期を迎えます。」ということになります。

長年股関節のレントゲンを眺めてきて、股関節の変形パターンは大きく分けて2通りあります。
股関節の屋根(寛骨臼蓋)が伸びて屋根ができ股関節の上下の骨の接する面積が広くなるか、大腿骨頭が象の鼻のように伸びて股関節の上下の骨の接する面積が広くなるかです。
どちらも“変形”と呼ばれて悪いイメージをもたれていますが、私には、どう見ても股関節の上下の骨が接する面積を広くして、股関節を安定させ、炎症が起き難い安定した股関節に修復がなされているようにしか見えません。

変形性股関節症の進行は止められるんですよ!

まとめ
筋肉のお手入れをすると、変形の進行は止められます。変形は実は怖い現象ではなく、修復という皆さんの味方です。
今までの修復に感謝して、今後は現状の維持に努めましょう。



3、脚をかばうことはよくない場合がある。

病院では「脚に体重をかけると、股関節痛が強くなるし、軟骨が減るので脚をかばいなさい。」とよく説明されますよね。
患者さんは、悪いほうの脚に体重をかけることを怖がり、杖を持つようになります。この日から、脚の筋力が低下して脚は細くなってしまうのです。

「脚をかばうと、脚が細くなるのでその分を筋力トレーニングで補ってください。」一見まともな説明ですが、脚をかばっていてはなかなか筋力はつきません。

脚に体重をかけると軟骨が減る(変形が悪化する)ということですが、半分は本当で半分は間違いです。

筋肉が正常かそれに近い状態では脚はかばうべきではありません。このような時は筋肉の筋力が股関節にかかる衝撃をしっかり吸収してくれるので軟骨は減りません。
せっかく股関節が長持ちするように股関節を守ってくれている筋肉の筋力を、脚をかばうことにより低下させて良いのでしょうか?

専門的に、脚をかばうなどの理由で脚の筋肉を使う量が減って筋力が低下することを廃用性筋萎縮(はいようせいきんいしゅく)と言います。廃用性とは『使わないことによる・・』と言う意味です。
極端な例を挙げると“寝たきり状態”です。脚をかばいなさいということは、“寝たきり状態”に近づきましょうと言うことですので、脚をかばうことが良いわけはありません。なぜ、正常に近い筋肉の筋力をわざわざ低下させなければならないのでしょう?
また、脚をかばうと骨も弱くなります。人間の骨は重力が加わらないとだんだん骨が弱く細くなるようにできています。骨は細くなり、骨の中の穴は広くなります。人工骨の場合、骨の中の穴に人工骨を差し込みますので、あまりかばいすぎると人工骨のゆるみにつながる可能性もあります。

皆さんがよく誤解をしていることですが、普通人間は左右の脚を5:5の割合で使っています。ですから普通は左右の脚の太さは等しいのです。5:5の割合だったのが脚をかばうと6:4の使い方になります。従って左右の脚の太さも6:4になります。かばったほうの脚は5から4まで細くなります。しかし、同じかばい方を続けていれば、脚の細さは4のままで3とか2までどんどん脚が細くなるわけではありません。ですから「筋力トレーニングをしないとどんどん脚が細くなる」なんて非常識なことは考えないでください。『筋力トレーニング恐怖症』になってしまっている人が実に多いのです。

もちろん、骨も少しは細くなりますが、細くなるのはあるところで止まりますので、人工骨がゆるむ事なんてほとんどありません。心配しないでください。
つまり、人間の骨も筋肉も日常生活上で使った分だけ太くなり、かばえばかばった分だけ細くなると言うことです。

人間の脚に体重をかけると軟骨は減るのでしょうか?もしそうなら、スポーツ選手は変形性股関節症だらけですね?それでは、骨の形が正常ではない人は脚に体重をかけると軟骨が減るのでしょうか?筋肉が正常に近い常態では、筋肉の筋力が股関節にかかる衝撃を吸収しますので、軟骨には負担はかかりませんので軟骨は減ら内のです。


しかし、股関節痛が強い時は、筋肉が病気になっていますので股関節にかかる衝撃を吸収できません。この時は脚に体重をかけると軟骨が減る場合があります。
股関節痛が強い人、歩く時のバランスが悪い人は杖をついて脚をかばってください。そして、できるだけ早く筋肉の病気を治して正常に近い筋肉にする為に筋肉をほぐす治療を受けてください。

筋肉のお手入れができて、悪いほうの脚で片足立ちをしても股関節が痛くなくなったら、脚をかばうのは止めてください。筋肉が正常に近くなり、脚に体重がかけられると、見る見るうちに脚は太くなります。

脚を使っていなかったから脚の筋力が低下して脚が細くなっているだけですから、痛みが取れて脚に体重がかけられると当然脚は太くなります。
実は、脚を太くすることに関しては“筋力トレーニング”なんて必要ではなく、重要なのは筋肉の病気を治して股関節痛を軽減させるお手入れをすることなんです!

変形性股関節症という病気が脚を細くしているのではありませんよ。


『木を見て森を見ず』こんな診療が行われています。変形性股関節患者さんの股関節だけ見て全身を見ない診療。変形性股関節症患者さんは、股関節ではありません!人間です!
全身を見ることは常識であり重要です。
脚をかばうということは、先のような問題もありますが、脚のアンバランスは腰、背中、肩、首、腕の筋肉にもアンバランスをもたらします。
変形性股関節症患者さんに腰痛、背筋痛、肩こり、頭痛、めまい、不眠症、杖を使う為の腱鞘炎が多いのも脚をかばうことが一因であることをお忘れなく。

股関節痛が取れた時、脚に体重をかけることへの恐怖が取れた時、
 
 股関節痛の増加→脚をかばう→筋力低下→股関節への衝撃吸収力低下→
→股関節痛の増加→・・・・・・と言う悪循環が無くなり、徐々に元気な股関節に、徐々に元気な体に戻っていきますよ(骨、軟骨変形の進行が止まります)

まとめ
軽くテーブルにつかまって、悪い方の脚で股関節痛が無く片脚立ちのできる人は、脚をかばう必要がありません。心と体の安定のために杖はついても良いのですが、杖に頼りすぎず、しっかり脚に体重をかけましょう。片足立ちをしようとすると股関節痛が強くできない人は、まずは脚をかばってください。次に筋肉を正常に戻すために筋肉のお手入れをして、筋肉が正常に近づき片足立ちができたら脚にしっかり体重をかけましょう。脚に体重をかけることほど、自然であり効果的な筋力トレーニングはありません。日常生活が立派な筋力トレーニングになるのです。

変形性股関節症を怖がらないでね

つづく