深圧 SHIN-ATSU 松本深圧院グループ 私達は深圧という特殊技術により、お客様それぞれにあったQOL(Quality of Life)の実現に貢献します

診療の間違い⑤

変形性股関節症に対する病院での診察と治療(診療)には間違いとして以下の4点を挙げて、①、②、③についてはすでに説明しました。

診療の間違い
①触診を行わず、レントゲン中心の診療であること。
②患者さんの個人差を無視したワンパターン診療であること。
③患者さんの心を無視した診療であること。
④説明内容、指導内容自体にも間違いがあること。

今回は前回に引き続き④説明内容、指導内容自体にも間違いがあること。について説明します。

前回、変形性股関節症の説明及び指導における“常識”と言われていることについて、その間違いを挙げてみました。



変形性股関節症の“常識”の非常識
1、股関節痛は骨や軟骨の変形が原因ではない。
2、変形は進行性ではないから進行は止められる。
3、脚をかばうことはよくない場合がある。
4、筋力トレーニングは逆効果の場合がある。
5、股関節痛は炎症ではないことが多い。
6、治療法は手術以外にも多くある。


そして、1、~3、の“常識”の非常識さについては前回説明しました。
今回は残りの4、~6、について説明します。


4、筋力トレーニングは逆効果の場合がある。

 皆さんは病気の時に筋力トレーニングをしますか?
筋肉の病気である筋・筋膜症候群についてはすでに簡単に説明してきました。
筋肉が病気の時に筋力トレーニングをしてもいいと思いますか?
筋は正常な状態と病気の状態の時がありますので、診察で筋肉の状態を把握したうえで、筋力トレーニングの指導をするか、筋力トレーニングはしばらく止めさせるかを判断して、患者さんに助言しなくてはならないのです。
 ところが、ほとんどの先生は「筋力トレーニングをしてください。」と言います。

 はっきり言います。筋肉が正常な時に行う適切な筋力トレーニングは効果的ですが、筋肉が病気の時の筋力トレーニングは股関節痛をはじめとする股関節の状態を悪化させます。

このように書くと、混乱する方がいらっしゃいますので、筋肉の病気の特徴と筋力トレーニングを行ううえでの筋肉の病気の見分け方を説明しますね。


筋肉の病気の特徴
1、筋力が低下する
 筋力は筋肉の太さに比例します。太い筋肉ほど筋力が強いのです。
 通常、筋力低下というと筋力が細くなることを意味します。(脚が細くなる)
 ところが、筋肉が病気の時の筋力低下は通常の筋力低下とは異なります。
 その人の持っている本当の筋力は低下していないのに、筋力を計測すると筋力が 発揮できないため結果的に一時的な筋力低下となるのです。
 皆さんも、風邪を引いている時に筋力が出ない経験があると思います。筋肉の病 気では、筋力はあるのに筋力が出ないのです。ですから、筋肉が股関節の衝撃を 吸収できなくなるのです。筋肉の病気は治療が必要なわけがご理解できると思い ます。筋肉の疲労状態なら風呂に入って休めば疲労は取れます。筋肉疲労は病気 ではありません。筋肉の中に乳酸という疲労物質が溜まって脚が“重く”感じら
 れますが 、それは誰にでもある現象です。
 
 筋肉が病気の時は、筋肉内の血液循環が悪化していて(血管が縮むから、また、
 コリによって血管が圧迫されるから)お風呂で温めても、十分な休息をとっても どんどん筋肉内に乳酸が溜まってしまい、やがてその乳酸はセロトニンという痛 みの物質に変化して痛みを出すのです。風呂や温泉で温めても、十分な休息をと
 っても症状が改善しないのです。
 
 以前、交通事故後の患者さんで以下のような経験をしたことがあります。30代 の男性でしたが、右手の握力が出ないということで私の施術を希望されて来まし た。痛みは肩にありました。左の握力は60Kgでしたが、右の握力は25Kgでし た。腕の太さを測ると、左右差がなかったので、使わないことによる筋力低下で はなく、交通事故後の筋肉の病気による筋力低下だと判断し、右肩~腕を中心に 1時間の施術をしました。交通事故から2ヶ月しかたっていなかったので、1週 間後に来られた時は、右の握力は55Kgまで回復していました。

 皆さんの中には、脚をかばって脚が細くなって筋力が低下している方が多いと思 いますが、その筋力は筋肉の病気によって更に低下している可能性があるのです
 。筋肉の病気による筋力低下については、筋・筋膜症候群について勉強した人に は常識的なことです。この事実を理解することが、筋力トレーニングをするうえ では重要なんですよ。

2、痛みが出る
 慢性的筋肉疲労の蓄積、股関節の炎症、股関節のケガ、股関節の手術などが原因 となり筋・筋膜症候群は起こります。
 筋・筋膜症候群では、筋肉内に痛みの物質が増えます。痛みの物質は筋肉内の循 環を良くしてあげると血液によって流せれますので、痛みは減るはずなのですが
 、お風呂で温めるくらいでは筋肉内の循環が良くならないところが病気なのです
 。筋肉をしっかり押して筋肉を柔らかくしてあげることが痛みを取り去るための 近道なんです。股関節は人体の深いところにあり、股関節を守っている筋肉も深 いところにあります。ですから、強めに押さないと深い層の筋肉の痛みを取るこ とができません。私の患者さんは、ありとあらゆるところで治療を受けてきてい る人が多いです。表面の筋肉だけをほぐす、残念ながらマッサージや指圧では深 い層の筋肉の痛みは取りきれません。押す力としては20Kg位の差ですが、効果
 としては大きな差なのです。
 筋肉の中に痛みの物質が溜まっていますので、最初の3回くらいは押されると痛 みを感じる患者さんがほとんどです。しかし、4~5回目くらいの治療から押さ れても痛くなくなってきます。筋肉が正常に近づくからです。この頃には、股関 節周囲の痛みもかなり楽になるんですよ。

筋肉の病気の大きな特徴は以上です。筋肉の病気というと難しく感じますが、関節痛の他には、ギックリ腰、肩こり、腱鞘炎、脚がつるといった皆さんにも馴染みの深い症状も含まれるんですよ。

次に筋力トレーニングを行ううえでの筋肉の病気の見分け方を説明しますね。


筋力トレーニングを行ううえでの筋肉の病気の見分け方
1、筋力トレーニング中に痛みがあれば筋肉の病気と考えて、筋力トレーニングを  その場で止め、しばらく筋力トレーニングを行わない。
2、筋力トレーニングの直後に痛みがある場合も筋肉の病気と考えて、しばらく筋  力トレーニングを行わない。
3、筋力トレーニング後に痛みが出て、その痛みが1週間以上取れないような場合  も筋肉の病気が考えられますので、しばらく筋力トレーニングを行わない。

この3点を参考にしてください。“しばらく筋力は行わない”というのは、個人差はありますが、2~3週間と考えます。この間に筋肉のお手入れ(治療)を行うことが理想です。
筋力トレーニングの翌日に出て2~3日で取れる筋肉痛は正常な範囲の筋肉痛です
。誰にでも起こる筋肉の痛みですので、筋力トレーニングは続けてください。

最後に皆さんが間違えやすい考え方について説明しておきます。


1、股関節痛があるから、股関節痛をとる目的で筋力トレーニングを行うという考  え方は間違っています。

 股関節痛は筋肉の病気の可能性が高い。筋肉が病気であるのに筋力トレーニング は逆効果になるからです。

2、筋力トレーニングをしないとどんどん筋力が低下していくという考え方は間違  っています。

 脚をかばうとある程度までは筋力が低下しますが、あるところで筋力低下は止ま ります。日常生活で無理のない範囲で筋肉を使っているからです。

3、筋力トレーニングはやればやるほど効果があるという考え方は間違っています  。

 効果的に筋力をつけるには、筋肉を休めることが重要だからです。皆さんも毎日 きつい仕事をすると疲れすぎますよね。ですから休日があるのです。
 筋肉も同じです。筋肉内に疲れを貯めすぎないことが重要です。
 私は週2~3回の筋力トレーニングを勧めることが多いですが、個人差がありま すので、自分の筋肉とよく対話をして決めてください。筋肉は非常にお利口さん で、疲れている時は“重い”という感じで教えてくれますし、病気の時は“痛い ”という感じで教えてくれます。筋肉の訴えをよく聞いてあげてください。
 “重い”は黄色信号、“痛い”は赤信号ですよ。
 筋肉を休めることもトレーニングなのです。
 
4、雑誌やテレビで紹介されている筋力トレーニングをそのまま行うことは間違っ  ています。

 雑誌やテレビで“股関節に効果があるトレーニング”なんて特集があっても、参 考程度として一生懸命やらないで下さいね。
 何度も言いますが、変形性股関節症患者さんの機能や症状には個人差が大きいか らです。
 特に、トレーニング回数や重りの重さ(2kgの重りをつけて、脚を挙げて7秒止 める運動を20回行う・・とか)などを具体的にした雑誌やテレビの情報を鵜呑 みにすることは危険です。4年ほど前、NHKで変形性股関節症の筋力トレーニン グを具体的に説明したことがあります。
 その直後、その通りの筋力トレーニングをやって痛みが悪化した患者さんが増え て苦労した経験があります。
 雑誌やテレビの監修を行っている○○病院の○○先生もそうですが、マスコミの 方々にも勉強が必要だと思いますよ。

5、股関節痛は炎症ではないことが多い。

一般的に、股関節痛は骨と軟骨の変形が原因であると説明されています。
骨と軟骨に変形があっても痛みを感じない人がいるにもかかわらずです。
こんな話が良くあります。「あなたの骨は変形が強いですね。あなたは痛くないと言いますが、本当は痛いはずです。」「あなたの骨や軟骨には変形がありません。あなたは痛いといいますが、本当は痛くないはずです。」信じられない話ですが、実際に先生からそう言われた患者さんがけっこういるのですよ。
骨と軟骨自体には神経がないので痛みは感じません。

先にも書きましたが、股関節の炎症と筋肉の病気が原因です。
自分で股関節の触診をして、股関節に圧痛(股関節に圧迫を加えたときの痛み)がなければ、股関節痛の原因は主に筋肉の痛みだと考えるべきなんです。

この考え方は繰り返し説明していますのでもうご理解していただきましたか?
ただし、このような説明をする先生はほとんどいませんし、このような説明をしている本もありません。
私はただ経験から想像して話をしているわけではありません。医学的な常識を並べて説明をしているだけです。皆さんが私を信じるも信じないも自由です。
私の説明を読んで納得できる部分があれば、是非信じていただきたいと思います。
その方が、ずっと心も体も楽になりますよ。
 もしも、病院の先生が骨と軟骨の変形が股関節痛の原因であると説明するのであれば、どうして変形があるのに痛みがない人がいるのかを説明してもらってください。「変形が強くなると股関節が動かなくなり股関節に負担がかからなくなるからい痛みが無くなるんですよ」と、もっともらしい説明をする先生がいるとは思いますが、そんな時は「変形が強くなくても痛みがない人がいるのはどうしてですか?」と聞いてみてください。
人間は、骨折すると激痛が起きます。これは骨の痛みではなく、骨を包んでいる骨膜の痛みです、事実骨折によってずれた骨を、元の位置に戻すだけでうそのように痛みは無くなります。
股関節の骨膜があるという人もいますが、骨膜の痛みは激痛です。歩けないとかそういうレベルではありません。寝返りさえできない激痛です。筋肉の病気でも、筋肉がつると激痛が起こる場合があります。もしも股関節に激痛のある方は、急いで筋肉の治療をしてみてください。激痛になってあまり時間がたっていなければ1回の治療で治る可能性があります。
皆さん、レントゲンの結果におびえないで下さいね。


6、治療法は手術以外にも多くある。

患者さんは変形性股関節症の治療に様々な要望をお持ちです。
治療法も選択肢が多いと良いですよね。

例えば、手術はできるだけ延ばしていずれは手術したいと言う要望に対する治療法。手術は絶対にしないと言う要望に対する治療法。手術の前に股関節周囲をお手入れしていきたいと言う要望に対する治療法。手術をしたけど現状をできる限り長持ちさせたいと言う要望に対する治療法・・・・・。

私は、手術をすることに反対ではありません。ただ、手術は最終手段であるべきです。
私は医師ではありませんので手術はできません。しかし、手術現場の見学経験は多くありますので、手術に関するお話はできます。手術の上手な先生を何人か知っていますし、人間性の優れた先生も何人か知っていますし、何よりも患者さんに評判のよい先生を何人か知っています。ですから、私が患者さんに手術を必要と判断した時は、患者さんに何人かの先生を紹介します。

筋肉の治療ができると、手術以外の患者さんの要望にこたえられるようになります。
定期的な筋肉のお手入れだけが必要な患者さんや、積極的な筋力トレーニングができる患者さんや、痛みが出たときだけ筋肉のお手入れが必要な患者さんなど、一人ひとりに合った指導ができます。
最近、都内にトレーニングジムを備えた整形外科で、しっかりしたトレーニング指導者がいるクリニックができました。変形性股関節患者さんは筋肉が病気の人が多く、筋力トレーニングを積極的に行えない方が多いのですが、筋肉を正常に近い状態に戻せて、積極的な筋力トレーニングができる条件が備わっている人には、このクリニックを紹介しています。

「治療法は手術しかありません。」という言葉は嘘です。まずは、筋肉のお手入れをしてくれる先生を探しましょう。手術はそれからでも遅くないのです。

変形性股関節症を怖がらないでね